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  クラシック炉辺夜話         2007/12/15(毎月1・15日発行)   
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 もの想う秋に、浪漫クラシック選(8)

 温暖化の影響化か、西日本など12月に入っても紅葉を楽しめるところが多
いようだ。というわけで今回も引き続き、もの想う秋の夜長の浪漫クラシック
選(8)をお届け。毎回述べているとおり、果たしてロマンチックかどうか、
それはあくまで主観的、例によって独断と偏見による選曲なので、その辺は.。

 ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調

  時代が進んだドビュッシーやラヴェルの曲は即ロマンチックというイメージ
ではないが、ブラームスと同時代のこのブルッフの曲は、特に深みは感じられ
ないものの、全編に漂う憂愁感、ほど良い感傷味、甘美さ、流麗な旋律、すな
わちロマンチックを絵に描いたような曲に思う。

 ブルッフはブラームスより5年遅れて1838年ドイツのケルンで生まれ、
1920年ベルリンで死去した後期ロマン派とされる作曲家である。3つの交
響曲、3つのヴァイオリン協奏曲、歌劇、オペレッタなど100ほどの作品を
残したとされるが、現在ではこのヴァイオリン協奏曲第1番やいくつかの合唱
曲など、ごくわずかの作品しか生命を保っていないという。その辺のところは
作曲者自身も予見していたらしく、1907年に、「あと50年もすれば、私
の名前はト短調のヴァイオリン協奏曲でしか記憶されていないだろう。」と語
ったとか。

 CDでは有名なメンデルスゾーンのホ短調のヴァイオリン協奏曲とカップリ
ングされていることもしばしば。私が今聴きながら書いているソニークラシッ
クの五嶋みどり/ベルリンフィルのCDもそう。なお、同じブルッフのヴァイ
オリン曲、2000年秋の「ロマンチック&センチメンタルクラシック選(
その1)」で紹介したコル・ニドライや、スコットランド幻想曲もいい。


 ラヴェル(1875〜1937)/ピアノ三重奏曲イ短調

 浪漫クラシック選で紹介するのだが、甘い感じの曲ではない。ラヴェル3
9歳の1914年第一次世界大戦前夜、南仏・ピレネー山麓のサン・ジャン
・ド・リュスに夏を過ごしている間に作曲された。戦争が勃発し、兵役に入
るまでの5週間ほどで完成させた。戦地に赴けば生死はどうなるかわからな
い、それ故、ラヴェルはそれまでの作曲活動の集大成、遺作がわりに、ある
いは自らへの鎮魂曲の意を込めて書いたともいわれる。

 そういうこともあっては曲は多分に内省的である。第3楽章などスピリッ
チャルな高貴さ、透明感の中に、深いたたずまいも感じられる。音楽評論家
の宮城谷昌光さんは、−−第3楽章には深淵があり、魂の対話がなされてい
る、厳粛に聴くべきであろう−−と、また北沢方邦さんは、−−またこれは、
意識的・無意識的に、大戦の非人間的な暗い翳りとメランコリーと、そして
また彼自身の反抗的な情熱の片鱗をも秘めているのである−−と述べている。
私が持っているのは、ラヴェル、ドビュッシー、フォーレの各ピアノ三重奏
曲がセットになったCD。ドイツ・トリオフォントネの演奏。(ワーナーク
ラシックス)必聴の一枚と思う。
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