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   クラシック炉辺夜話      2007/07/15(毎月1・15日発行)    
   
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  ドビュッシー(1862〜1918)/牧神の午後への前奏曲

 この曲を聴いていつも思うことは、もしベートーヴェンが墓の中でこの曲を
聴いたらどう感じるかということである。サプライズそのものか、はたしてど
うだろう?でもベートーベン没して65年の1892年、こういう曲が作られ
るということは、やはりバロック・古典派・ロマン派と続いて来た西洋音楽の
の歴史的必然がなさしめたものであろう。

 ドビュッシーは、次ぎの年1893年に作曲された弦楽四重奏曲(夜話・2
004.7.15号で紹介)もそうであるが、古典派から引き続く過去一世紀近
いロマン主義音楽、特にドイツ・ロマン派の根強い伝統・殻というものを決定
的にうち破って、新しい和声法によっていわゆる印象主義音楽をうち立てた。

 私がこの曲を聴いたのは、多分中学校の音楽教室、レコード鑑賞だったと思
う。モーツアルトやベートーヴェン・シューベルトなどを聴かされて来た耳に
は、こんな音楽もあるものだと、確かに新鮮な驚きだったのを覚えている。

 初演は、作曲の翌々年の1894年(32歳)大好評裡に迎えられ、ドビュ
ッシーがそれまで発表した作品の中では最大の成功だったといわれるが、種々
の議論も巻き起こした。ともあれ、彼の音楽様式を確立した作品であると同時
にドビュッシーの地位を不動のものとし、新しい音楽の世界の門を開いた歴史
的、エポックメーキングな作品であるとされる。

 「暑くものうい夏の午後、森かげにまどろんでいた半人半獣の牧神は、夢う
つつに中に水浴する二人のニンフ(妖精)を見つける。そっと近づいて彼女ら
を抱きかかえようとするがスルリと逃げられる。でもそれも現実か幻かはっき
りしない。そんな幻想の果てに、彼は愛の女神ヴィーナスを抱擁する。官能の
悦び、幻はきえて漠とした倦怠感。牧神は再び、日差しと午後の静けさと草い
きれの中でまどろみ始める。」

 多くの人が語るようにこの作品は、繊細微妙な色彩感、感覚的な音色、官能
的けだるさと浮游感に満ちた曲である。また良く知られるようにフランスの詩
人、マラルメの詩「牧神の午後」を音楽化しようとする試みだったこの作品は
元来前奏曲ではじまり、間奏曲を経て最後のパラフレーズで終わる構想だった
というが、実際に完成されたのは前奏曲だけだった。けだし、その構想は別に
して、この前奏曲だけで必要にして十分、完璧な作品である
 
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