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   クラシック炉辺夜話      2007/05/15(毎月1・15日発行)    
   
   クラシックの作曲家や作品のエピソードを中心に読みものとしても
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  ブラームスとアガーテ・フォン・ジーボルト 

 ブラームスの生涯の女性関係は別にクララ・シューマンだけではないのだが、
クララとの結婚を断念したものの、満たされぬ思いを以後の彼の人生を通して
重く引きずることになった。早く精神的自立をと自ら鼓舞するものの、クララ
への思いはやはり、意識無意識に出て来るのである。

 翌1857年、ブラームスはデトモルト公爵の宮廷の合唱指揮者として雇わ
れ初めて定職についた。更に次の年の1858年、ゲッティンゲンに住む友人
のオットー・グリムを訪ね、そこでアガーテ・フォン・ジーボルトと邂逅した。
グリムが地元の交響楽団の音楽監督を務めており、グリムの家には多くの音楽
愛好家が出入りしており、アガーテもその一人だった。ところでこのアガーテ
江戸時代末期医師として来日したフイリップ・フランツ・シーボルトの親戚な
のだという。日本ブラームス協会の坂本政明氏の著書『ブラームスの実像』(
音楽之友社)の中の記述によれば、彼(来日したシーボルト)の父の弟がアガ
ーテの祖父に当たるとか。

 アガーテはゲッティンゲン大学の教授の娘で、ブラームスは聡明さとどうも
その美声と長い黒髪に惹かれたらしい。二人は急速に親しくなり、ブラームス
が自分の住むデルモルトに帰る頃ににはもう相思相愛、将来を誓い合う中にな
っていた。このように一時は婚約まで交わしたのに、結局は結婚にはいたらな
かった。優柔不断、彼の気持ちが煮え切らなかったのが最大の原因であるだろ
う。

 それというのは、デトモルトに戻ってからも、ブラームスはアガーテのこと
を想い続けていたが、新作のピアノ協奏曲第一番がさんざんの不評でかなり落
ち込んでいた。そんな折り、友人のグリムからアガーテとの婚約を正式に進め
るよう手紙が届いた。ブラームスは迷う。彼女に背を向けて音楽一筋に生きる
か、それとも彼女と人生をともにするか。そして心定まらぬままアガーテに手
紙を書く。「愛しているが、束縛されたくない。」とし、婚約の決断をアガー
テに委ねたのである。

 自分がブラームスの支えになっていると信じていたアガーテのショックは大
きく、自尊心も傷つけられ、ブラームスに決然と別れの手紙をしたためたのだ
った。この恋は、ブラームス自身よりもアガーテの方により大きな傷跡を残し
た。彼女は、ブラームスとの婚約が解消された後、実に10年間、誰とも結婚
する気持になれなかったというし、また結婚に際しては、彼からの手紙を残ら
ず処分してしまったという。ブラームスは、なんとも自分勝手で罪作りな男と
思わざる得ない。

 自分の方からアガーテをふった感じのブラームスであるが、こちらも失恋の
痛手は長く尾を引いたのである。弦楽六重奏曲第二番は、別名「アガーテ」と
呼ばれ、彼女に対する想い、良心の呵責と苦悩から自らを解放すべく作曲した
らしい。なんでもこの曲の中にはヴァイオリンの音で「a・g・a・d・h・e
(アガーテ)」の文字が隠されているとか。
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