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  クラシック炉辺夜話      2007/03/15(毎月1・15日発行)    
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  伝説のパガニーニ(1782〜1840)・その2
 
 1828年、パガニーニはもう40代も半ばにさしかかっていたが、イアリ
アからアルプスを越え、はじめて国外へ出て、先ずウイーンを皮切りにヨーロ
ッパ各地への足かけ6年に渡る演奏旅行の途についた。このウイーンで、前回
書いたようにシューベルトがその類まれな演奏に接し、驚嘆したといわれる。
ベートーヴェンは前年、1827年の3月に没している。

 1829年から1831年にかけ、ドイツ各地とポーランドをまわり、どこ
へ行っても熱狂的な歓迎を受けたとされる。パガニーニの演奏を絶賛したのは
音楽家ばかりでなく、文学者や詩人などにも強い印象を与えたようである。そ
の中にはゲーテやハイネも、ことにゲーテは「彗星か何かにのように聞こえた
。」と語ったという。

 1831年3月、フランスは花のパリに到着。オペラ劇場で最初の演奏会が
開かれたが、ここでも人々を熱狂させ、新聞は「これは悪魔的な神業である。
人々はすべて狂気に走った」と伝えたという。当時まだ19歳だったフランツ
・リスト(1811〜1886)は演奏を聴き、いたく興奮しては、「私はピ
アノのパガニーニになるのだ。さもなければ気違いになるのだ。」と語ったと
いう有名話が残っている。劇場でのコンサート、宮廷での演奏など十数会の演
奏会は、ことごとく満員で大盛況裡に終えた。

 しかしその成功と名声とは裏腹に、ご本人にとってはどうも良からぬうわさ
が広がったのである。それはパガニーニが「たいへんなケチ」で「貪欲な守銭
奴」であるというものだった。音楽家のエピソードを紹介した本には、「ケチ
」で名を馳せたパガニーニ....などとタイトルが載っているものもある。

 当時のヨーロッパの各都市では、慈善演奏会が盛んに行われていた。これは
貧しい人々や病気の人を救済しようとするための資金集めのコンサートで、多
くの音楽家が少ないギャラか無償で出演していた。パガニーニの滞在中もその
ような慈善演奏会が数回となく行われていたが、パガニーニはそれらに一回も
出演しようとしなかったのである。また彼の演奏会自体の入場料も飛び抜けて
高く、パリで行った14回のコンサートで12万フランも稼いだと伝えられて
いる。慈善演奏会の出演要請も断る、また慈善事業へもビタ一文も寄付しない
と徹底していたようだ。

 パリの新聞等は一斉にこのことキャンペーン的に書き連ね、パガニーニの立
場は苦しいものになった。彼なりの理由もあったようで、新聞に、慈善演奏会
の日にあいにく体調を崩していたなどと弁明に努めた。しかし早やうわさが広
まり過ぎ効果はなかったようで、更に悪い条件も重なって、すっかり後世まで
「ケチ」の名が残ることになってしまった。
                  UNCLE TELL 
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