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  アンクルのクラシック夜話         2005/07/15(毎月1・15日発行)    
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 シューベルト/魔王

 シューベルトの「魔王」を恐らく、中学校の音楽の時間、レコード鑑賞で
始めて聴いた。歌詞の意は先生が解説してくれたが、曲の持つ迫真で異様な感
じが強く長く印象に残ったものである。歌の部分の迫力もだが伴奏部、絶え間
なく続く三連音が激しい暴風雨の不気味な夜とその中を親子を乗せ疾走する馬
を表す、そして魔王の囁く部分や感情の起伏、嵐の変化する部分では巧みに強
弱の変化がつけられ、旋律もまた次々と転調し劇的な効果を盛り上げて行く.。
実に巧みで見事な4分間のドラマになっている。
 シューベルトの歌曲の中で、「冬の旅」などとともに最も有名で良く知られ
た曲である。1815年、シューベルト弱冠18歳の時の作品。
 シューベルトの親友の一人だったヨーゼフ・シュパウンの回想録によると、
「この年の暮の午後、ヒンメルフォルトグルントに詩人のマイルホーファーと
二人で訪ねて行くと、その時彼はゲーテの詩《魔王》を大声を出して読んでい
た。片手に本を持ち、部屋の中をぐるぐる歩き回っていたが、やおら腰を下ろ
して机に向かうと猛スピードで作曲を始めた。」この曲も楽想が浮かぶと一気
に書き上げられたようである、しかし、曲が出来たもののその時、シューベル
トの部屋にはピアノがなく近くの中学校へ行って弾いたというエピソードも伝
わっている。
 この曲、今では不朽の名曲ではあるけれど、仲間内など一部の者には知られ
ていたものの、作曲から出版まで6年の年月を要した。それも最初の版は、わ
ずか100部で、製版費は作曲者側持ちだった。伴奏部分の演奏が難しく出版
社にもなかなか認められなかったということもあるようだ。としても、今も昔
も作曲家、否アーティストが世に認められるにはなにかのきっかけとか運が必
要である。
 結論的にいえば、晩年シューベルトはウイーンではかなり知られた存在には
なっていたが、ベートーベンとは雲泥の差、没後は年を追って光り輝いたが、
存命中は市井の作曲家に毛の生えた程度の評価であったのである。
 31歳の生涯で603曲もの歌曲(リート)を作曲したシューベルト、ドイ
ツ歌曲の王とも称された。音楽評論家志鳥栄八郎さんは言う。ーーそれは単に
それほど多くの歌曲を作ったという理由だけではなく、それまでは、民謡のま
しなものという程度にしか考えられなかったドイツ歌曲が、シューベルトの手
によって、芸術的な価値あるものへ高められたからなのである。実にシューベ
ルトこそは、不毛だったドイツ歌曲の世界に花を咲かせた大恩人であった。
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