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   アンクルのクラシック夜話33        2001/03/09(毎週金曜日発行)    
                                       uncletell@lycos.ne.jp 
   
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 ベートーベンと女性たち2
 ベ−トーベン、行きずりの恋?

 誰しも(男性の場合だが)、10年に1回か、5年に1回か、また2年に1
回か、街など歩いていて、車を運転していて、ハットするような美しい女性に
出逢うことがある。もっとも美しいなどということは主観的なことだから、誰
にとってもということではないが、インスピレーションか稲妻を受けたように
強く曵かれる女性ということである。
 今、おこなおうとしている目的など放棄して、この女の人について行きたい
追いかけてみたいという激しい衝動にかられることがある。
 多くの場合、実際の行動は起こさないのだが(あるいは現実的には起こせな
いのだが)、そういう後はなにか不完全燃焼したような、ほろ苦い想いが残る
のである。

 ベートーベンも若い、美しい女性は大好きだった。(当たり前か......)
ウイーンの街角で、郊外の田舎道で、美しい若い女性とすれ違った時など、後
ろ姿が見えなくなるまで、よく立ち尽くしては眺めていたともいう。
 そんなベートーベンの様子を実際に見聞した弟子のフェルデナント・リース
もその著作で「...(ベートーベンは)女性を眺めるのが大好きだった.」
と書いているという。
 1811年夏(ゲーテとはじめて会い、また不滅の恋人への例の手紙が書か
れた前年)、温泉地テブリッツに逗留したベートーベンは、ソプラノ歌手アマ
リーエ・ゼーバルトと知り合いになったほか、多くの人と知遇を得た。(アマ
リーエ・ゼーバルトについては、機会があれば別稿でとりあげたい。)
 その中には詩人であり伝記作家で、当時陸軍士官だったというファルン・フ
ォン・エンゼとその恋人だった才媛として名高いラヘル・レーヴィンという女
性も。
 その出合は、いかにもベートーベン的で面白いというのである。
 「ベートーベン 不滅の恋人」の青木やよいさんはその著作で、そんなラヘ
ルの出会いを紹介している。
 ベートーベンはテプリッツの田舎道で、感じのよいカップルとすれ違う。特
に、その女性の方の面差しを目にしたとたん、彼の胸は思わず高鳴った。ベー
トーベンにとって「したしい面影」と、あまりに似ていたのだ。
 ベート−ベンはいっしょにいた青年オリヴァーを使いにやって、自ら交際を
求めた。しかも、人嫌いで通っていた彼が、彼ら二人のところへピアノを演奏
をしに出かけたというから、よほどラヘルに魅力を感じたに違いない。ラヘル
は、ゲーテとも親しかったとされるが、ここまでのことは、残っている資料等
から確認されてることようだ。
 「したしい面影」とは、有名な「不滅の恋人」にも関係するのだが、それは
また。
                   UNCLE TELL
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  ベートーベンは40歳を過ぎて、彼自身が”不滅の恋人”と呼んだ女性に
めぐりあった。 ベートーベンは多くの恋愛遍歴を重ねたが、最愛にして もっ
とも真摯なという思いがあったのだろう。
 このような人、男と女の情念は、40になろうが50になろうがかわるもの
ではない。
  というところで、ちょっと蛇足、空気・レベルは違うが、広兼憲史のコミッ
ク「黄昏流星群」(たそがれりゅうせいぐん・小学館・BIG COMICS)の巻頭のフ
レーズを思いだしたので紹介しよう。
 −−四十歳を越え、多くの大人達は、死ぬまでに、もう一度、燃えるような
恋をしてみたいと考える。それはあたかも、黄昏(たそがれ)の空に、飛びこ
んでくる流星のように、最後の輝きと、なるかもしれない。この熱い気持ちを
胸に秘めつつ、落ち着かない日々を送る大人達を、我々は..、黄昏流星群と
呼ぶ−−、そしてしゃれた英語がついている。
−−In the later years of their lives,men and women sometimes find the
mselves in the glow of love. Their love stories are shining like shoot
ing stars in the twilight.−−
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 弘兼憲史著「黄昏流星群」
 http://www.bigcomics.shogakukan.co.jp/toshokan/title/tg/tasogare.html
 「黄昏流星群」第1話テレビドラマ化
 http://www.bigcomics.shogakukan.co.jp/bc_shop9810/keiji/topics3.html
 ベートーベンを巡る女性、「不滅の恋人」(園田高広さんのHPより)
 http://www.music.co.jp/~evica/lecture/lecture6.html
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ます。こちらもぜひ読者になっていただければうれしく思います。「千曲川通
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  ”信濃なる千曲の川の細石(さざれし)も  君し踏みてば 
   玉と拾はむ”(万葉集)
 みすずかる信濃は、千曲川河畔から発信、なつかしきたべものたち、野の花
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 「アンクルのクラシック夜話」バックナンバータイトル

 ・#33・ベートーベンと女性たち2
       ベートーベン、行きずりの恋?
 ・#32・もうひとつのクロイツエル・ソナタ
  ・#31・ハイドンの頭蓋骨の長き放浪

 ・#30・クロード・ドビュッシーの女性遍歴(3)
 ・#29・クロード・ドビュッシーの女性遍歴(2)
 ・#28・クロード・ドビュッシーの女性遍歴(1)  
 ・#27・モーツアルト毒殺(?)の新犯人(?)(3)
  ・#26・モーツアルト毒殺(?)の新犯人(?)(2)
 
 ・#25・モーツアルト毒殺(?)の新犯人(?)(1)
 ・#24・ベートーベンと女性たち1
      マリー・エルデーディ伯爵夫人の場合
 ・#23・ブラームスはお好き?
  ・#22・エリック・サティとドビュッシー
  ・#21・神秘なる聖なるエンヤ!
 
 ・#20・チャイコフスキーとドビュッシー
  ・#19・ロマンチック&センチメンタルクラシック選(4)
 ・#18・ロマンチック&センチメンタルクラシック選(3)
 ・#17・ロマンチック&センチメンタルクラシック選(2)
 ・#16・ロマンチック&センチメンタルクラシック選(1)

  ・#15・グレゴリー聖歌とジュリー・ロンドン
 ・#14・クロイツエル・ソナタ
 ・#13・当世クラシック人気作曲家ベスト30
 ・#12・ラ・フォリア物語
 ・#11・他人の奥さんを散歩に誘ったベートーベン

 ・#10・給食の音楽とお掃除の音楽
 ・#09・鼻ぺちゃ先生とシューベルト
 ・#08・ベートーベンの筆談帳より
 ・#07・ベートーベンの「不滅の恋人への手紙」より(3)
 ・#06・ベートーベンの「不滅の恋人への手紙」より(2)

 ・#05・ベートーベンの「不滅の恋人への手紙」より(1)
 ・#04・バッハ「トッカータとフーガ」二短調
 ・#03・「ウイリアム・テル序曲」「セヴィリアの理髪師序曲」とロッシーニ
 ・#02・寅さんと島崎藤村とドビュッシー
 ・#01・バッハ「ゴールドベルグ変奏曲」
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