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  クラシック炉辺夜話      2006/08/01(毎月1・15日発行)    
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  森田童子(もりた どうじ)とレクイエム
  
 いつもふらっと立寄る近くの通りの古本屋、メールマガジンを二誌書いてい
るので、なにか参考になるものはないかと物色する。前にアップした「大正八
年のベートーベン」(夜話・2002・10・15号)など、ここで買った文
字通り大正八年に発行の古本を参考にして書いたものである。

 並んでいる本の中に、「偏愛的名曲事典」(斉藤慎爾著・三一新書)という
本があり、ぱらぱらとめくっていたら、−−森田童子が歌う吐息のような青春
の鎮魂歌『ラスト・ワルツ』−−なんて項目がありびっくりした。
 
 この本は別にクラシックの名曲ばかりを紹介した本ではないが、裏表紙にあ
るキャッチコピーによれば、−−氾濫する音楽の洪水の中で、いま何を聴くべ
きか!バッハ、モーツアルトから武満徹、一柳彗、美空ひばり、中島みゆき、
森田童子から無名のシンガーソングライターまで。名曲・秘曲の大饗宴(シン
フォニー)−−、というわけで著者の独断と偏見的選曲で必聴の名曲を紹介し
ている。
 
 斉藤慎爾(さいとう・しんじ)さんははじめて聞く名前の方であるが、私も
大ファンである伝説のシングソングライターの森田童子の曲が、モーツアルト
やベートーベンの曲に伍して紹介されているのが無性にうれしかったのである。

 著者は言う、森田童子が歌う吐息のような青春の鎮魂歌『ラスト・ワルツ』
息を呑むような美しい旋律。それは深い疲労の翳りをにじませ吐息のように歌
い出される。宴の終わりに、青春の終わり、時代の終わりを象徴させていて見
事である。ラストは、過ぎ去った往時を歌手自身が偲ぶかのように、この曲が
自らの青春へのレクイエムということだろう、と...。

 私はクラシックのメールマガジンを書いてはいるけれど、別にコチコチのク
ラシックファンでも、聴く曲も購入するCDもクラシック一本槍なんてことは
あり得ない。ロックもジャズ・フュージョンも好きだし、演歌も良く聴く。

 斉藤さんも本の中で、クラシック通でそれ以外関心などないと思われた人が
ニューミュージックやロックなどにも熱烈なオマージユを捧げている光景を見
ると、旧知にあったような懐かしさ親しみを覚えると書いているが、人はみな
多様なものだ、一辺倒なんてことはなかなかない。

  彼が紹介しているところによると、小説家・評論家の大岡昇平氏(1909
〜1988)は、大の南沙織ファンで、応接室に色紙まで飾っていたほど、晩
年近くは中島みゆきにはまっていたらしい。日本を代表するクラシック作曲家
・エッセイスト團伊玖磨氏(1924〜2001)は、松任谷由美のデビュー
の際に「宝物を見つけたことを幸福に思う」とまで評価したという。小説家辻
邦生氏(1925〜1999)は、さだまさしが大のお気に入りだったとか。

 それにしてもクラシック音楽界の重鎮だった團伊玖磨氏が松任谷由美にエー
ルを送っていたなど、ほほえましく親しみを感じる。

 森田童子は、1975年から1983年のわずか9年間、活躍したいわば伝
説のシンガーンングライター。ライブハウス中心に活動し、知る人ぞ知るテレ
ビなどとは無縁なシンガーだったが、その歌とスタイルは学生を中心に若者に
強烈なインパクトを与え支持された。巨大な黒色テント劇場での公演など、今
も語り草という。とめどもなく暗く、滅入る歌を歌うシンガーと私が呼んでい
た同じ70年代のカルメン・マキ、山崎ハコ、浅川マキ、石川セリなどと比べ
今思うと最も存在感があり、歴史的な意義意味合もあったのは森田童子だと強
く感じるのである。今回号は、だいぶクラシックからはずれたかもしれないが
悪しからず。
                   UNCLE TELL
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