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  クラシック炉辺夜話      2006/07/15(毎月1・15日発行)    
                                       uncletell@infoseek.jp 
   
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今まで「アンクルのクラシック夜話」を購読いただきありがとうございました。
2000年7月に発行開始以来、この7月で7年目に入りました。これを期に
7月01日号から、タイトルをより親しまれるものにということで、「クラシ
ック炉辺夜話」に変更しました。引き続いてよろしくお願い致します。炉辺で
クラシックを聴きながら、くつろいでお読みいただければ幸いです。
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  グリーク(1843〜1907)/組曲「ペール・ギュント」 
  
 若いひところ、北欧の作曲家の作品を良く聴いたり、北欧文学、ビョルンソ
ンやヤコブセンの小説にも凝ったものだが、音楽にしても、このごろはとんと
ご無沙汰になっている。これは自分自身では、一連の通俗名曲から、室内楽中
心にシフトして聴くようになったのも関係しているかもしれない。
 シベリウスの交響詩「フィンランデア」同じく交響曲第一番第二番、バイオ
リン協奏曲、愛聴していたはずなのにレコードや録音テープはどこへ行ってし
まったのだろう。またトゥオネラの白鳥・悲しきワルツなどお気に入りだった
と思うが、久しく聴いてない。
 ところでグリーク、ピアノ協奏曲は別にして、多くの人が思いつく曲はペー
ル・ギュント。その組曲「ペール・ギュント」に含まれる哀切きわまりないソ
ルベークの歌など、私にとってメンデルスゾーンやチャイコフスキーのバイオ
リン協奏曲などとともにうづくような青春懐古の曲のひとつである。
 「ペール・ギュント」は、ノルウエーの詩人イプセンがノルウェーの民話の
伝説的人物を題材にして作った同名の詩劇に付けた付帯音楽で、そのイプセン
の依頼により作曲したもの。その筋は、夢想家だが仕事はあまり好きではない
青年ペールは、純情なソルヴェーグが自分を思っていることを知りながら、幼
なじみのイングリッドが結婚すると聞くと動揺して、衝動的に結婚式場から花
嫁をさらって山に逃げ込む。(第一幕)しかし、ペールは間もなく、イングリ
ッドに飽きてしまうと、彼女を捨て、放浪の末、山の魔王の宮殿にたどり着く。
その娘に愛されたりするがペールが取り合わないので、魔王の一族、手下たち
にさんざんな目に遭う。(第二幕)
 危うく逃れたペールはソルベーグの元に戻り、年老いた母の死を看取る。
(第三幕)時は流れ、ペールはまた放浪の旅に。北アフリカはモロッコで大金
持ちになるものの、ペテン師にだまされ財産を失うが、めげず今度はアラビア
で予言者になりかわる。族長の娘アニトラに執拗に誘惑されるが、ソルヴェー
グの夢を見る。(第四幕)その後も放浪と冒険を重ね、ゴールドラッシュで湧
くカリフォルニアで巨万の富を築いた後、故郷のノルウエーに。しかし故郷の
港目前で船は嵐に遭い難破、財産はすべて海のもずくに。文なし落魄の身にな
りやっとのことで故郷にたどり着く。今は白髪になったソルヴェーグの子守歌
を聴きながら、ベールは静かに息を引き取る。(第五幕)
 グリークは22曲からなる付帯音楽を作曲したが、1876年の初演後、大
幅に書き直し、1888年4曲を選んで第一組曲(朝・オーゼの死・アニトラ
の踊り・山の魔王の宮殿にて)とし、3年後更に4曲を選んで第二組曲(花嫁
略奪・アラビアの踊り・ペール・ギュントの帰郷・ソルヴェーグの歌)とした。
どちらの組曲も劇の付帯音楽らしく、情景や雰囲気をすなおにほうふつさせる。
気負いやてらいがない軽い音楽ではあるが、抒情性に富み聴いていて実に心地
良い。
 第一組曲・第一曲「朝」作曲者はモロッコの朝としているが、感じは高原の
フィヨルドのひんやりした朝ぼらけの様子が伝わって来る。
 同・第二曲、「オーゼの死」悲痛・悲嘆、悲しみの曲。
 同・第三曲、「アニトラの踊り」魅惑的なエキゾチックな感じの曲。
 第二組曲・第三曲「ペールギュントの帰郷」荒海の描写が、ワーグナーの「
さまよえるオランダ人」リムスキー・コルサノフの「シェエラザード」と比較
されるとも。
 同・第四曲「ソルヴェーグの歌」ペール・ギュントの代名詞的な曲。さびし
い諦めの気持ちが悲しく歌われ、胸を打つ。
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