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  アンクルのクラシック夜話      2006/05/15(毎月1・15日発行)    
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  ルクー(1870〜1894)のバイオリンソナタト長調
  
 クラシックにあまりなじみでない人からは、ルクーって?といわれそうだが、
ロマンチズムと哀切に満ちた美しいこの曲、私はフランクのそれのように大好
きな曲、かけがえのない名作であると思っている。2000年12月01日号
の「ロマンチック&センチメンタルクラシック選(その4)」でも紹介。また、
2001年7月20号の夜話で紹介した20歳に満たない年で夭折したスペイ
ンのモーツアルトと称されたアリアーガと同じように、音楽史上最も惜しまれ
るべき夭折者の一人ともいわれる。
 ベルギーの作曲家であったギョーム・ルクーは腸チフスのため24歳の若さ
で他界した。短い生涯の中で、ピアノ曲、室内楽曲、カンタータ、管弦楽曲な
どさまざまなジャンルの作品を手がけたが、いづれも独特の香りを放っている
という。しかしやはり、この作品はルクーの代表作・最高傑作と評価される。
ルクーの作品を聴いた同じベルギーの大バイオリニスト・作曲家のイザイがそ
の才能に強い印象を受けて作曲を勧めたことから生まれた作品。作曲は189
2年、同じ年にこの曲を献呈されたイザイによって初演された。
 −−曲は瑞々しさと熱っぽさを合わせ持ち、それらが互いに反発したり溶け
合ったりしながら、夢想を果てしなくゆたかに繰り広げてゆく。また、夢想を
望見するような絵画的風景。白日夢の世界に恍惚と誘う。−−とは音楽評論家
の喜多尾道冬さん。
 また、平林道哉さんは、フランクのそれよりも甘酢っぱい香りがし、さらに
そのフランクよりも弾きやすかったので、聴きまくって自分でも一所懸命に練
習して(第一楽章のみ)、一時期は熱病にうなされたようにようにルクー漬け
となったと、音楽雑誌の中で述懐している。
 ルクーは14歳で作曲の道を志し、正規の音楽教育を受けることなくバッハ、
ベートーベン、ワーグナーなどを研究、15歳でバイオリンとピアノのための
変奏曲、18歳で管弦楽曲を作曲、18歳の1888年、一家でパリに出てフ
ランクに師事した。フランクは同郷のルクーの才能を認め、丁寧な指導を行い
やがてルクーは師の元、たぐい希な才能を開花させて行く。フランク亡き後は
ダンディが指導した。
 腸チフスで亡くなった時、イザイから委嘱を受けたピアノ四重奏曲の第二楽
章まで書き上げ、第三楽章にとりかかろうとしていたところであった。そのロ
短調の作品には、世紀末に生きた多感な青年のあらゆる思索、夢想、抒情、そ
してとりわけ痛切な哀しみが込められているという。こちらは私もまだ聴いて
ないので、早い機会にぜひ聴きたいと思っている。
                  UNCLE TELL
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