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　 アンクルのクラシック夜話     　2006/04/15（毎月１・１５日発行)　　　 
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　 ポピュラーな話題をお送りします
　    　
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  シューベルトとメンデルスゾーンのハ重奏曲
  
　シューベルトとメンデルスゾーンのハ重奏曲、通向きというわけではないが
ポピュラーな曲とはいえないだろう。音楽之友社などの室内楽曲だけを紹介し
た本には登場しても、作曲家の代表的な曲を集めて解説したガイドには多分載
らないだろう。
　二つの曲、ここへ来てまた何回か聴く機会があるが、ベートーベンの七重奏
曲も合わせ、久しく聴くことがなかった懐かしい曲である。
　これらの曲、もう何十年も前の若い頃、ＮＨＫのＦＭ番組を７インチのオー
プンリールのテープレコーダーを回して、せっせと録音したものである。ＦＭ
番組が載っている雑誌などをチェックして録音するのだが、放送が流れている
のはたいてい勤めに出ている日中である。タイムスイッチでオンとオフとをセ
ットして出かけたが、うまくピタっと時間通り行かないことも多かった。それ
にテープレコーダーでは、お目当ての曲だけをうまく取り出して聴くというの
がなかなか容易ではなかった。
　このように苦労して録音収集した７インチ、５インチのテープがだいぶたま
っが、時代は進みカセットの時代に。そしてある日、黴が生えた大量のテープ
は、安月給の当時けっこう思い切って買ったオープンリール用のテープレコー
ダーとともに廃棄処分に。としてもその後の時代のカセットテープも今はほと
んど聴くことはなく、テープもおおかた散逸している。レコードはさすが捨て
てはないが、プレーヤーを友人に譲ってしまったので、聴こうとしても聴けな
い状態だ。
　シューベルトの八重奏曲、ベートーベンの伝記本などに出てくるミサ・ソレ
ムニスなど何曲かを献呈したルドルフ大公、その侍従長にトロイヤー伯爵フェ
ルデナントという大の音楽好きの貴族がいた。かねてからベートーベンの七重
奏曲の評判がいいことを見聞きしていた伯爵は、どうも自分でもそのような作
品がほしくてたまなくったらしいのである。
　ということで、くだんの伯爵殿、ベートーベンの七重奏曲をモデルに、とい
う具体的なリクエストをつけて、作曲をシューベルトに依頼したのではないか
と．．．。かくして１８２４年春、この八重奏曲は作曲された。ベートーベン
の七重奏曲の楽器構成（クラリネット、ホルン、ファゴット、バイオリン、ビ
オラ、チェロ、コントラバス）にバイオリンを一挺増やして。楽章構成も同じ
六楽章。ベートーベンのディベルトメントともいうべき七重奏曲、シューベル
トの八重奏曲と聴き較べて見ると、やはりそこはベートーベンの曲がいいとい
う人の方が多かろう。いきいききびきびメリハリもあり、聴いていて実に心地
良い。シューベルトの曲は、やや内にこもり、多分に情緒的である。
　メンデルスゾーンの曲は弦楽八重奏曲。シューベルトの作曲と同時期、１８
２５年、１６歳の時の作品である。楽器構成は弦楽四重奏を二倍にした感じで
若い時にたくさん書いた弦楽のための交響曲の室内楽的結晶だといわれる。
音楽評論家大木正輿さんは、楽想は、美しくこんこんと湧き出る趣を持ち、構
成もしっかりできて実によくまとまっていると評価。また喜多尾道冬さんは、
少年らしい溌剌とした活力と覇気に満ち、意気軒昂とした天衣無縫な展開を示
している、とも。
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