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  アンクルのクラシック夜話         2006/02/15(毎月1・15日発行)    
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  ベートーベン最後のピアノソナタ3曲、第30番・第31番・第32番
  
 この3曲は、夜話・01年5月18号の「無人島へ持っていくCD5枚」の
ひとつとしても紹介したものである。ベートーベンの否、あらゆるピアノ曲の
中で一番好きで気に入っている曲。私にとって珠玉の宝もののような思い入れ
の曲。それは私にとっては、音楽評論家青木やよひさんがいうベートーベンの
”不滅の恋人”と目されるアントニー・ブレンターノへの追憶の悲歌(ブレン
ターノのソナタ)である−−ということとも不可分である。
 ベートーベンのすべてのピアノソナタ(ということは、私アンクルにいわせ
ればあらゆるピアノ作品の中でということにもなろうか)の中で特別な地位を
占めていて、誰もが畏敬の念をもって接する(音楽評論家・喜多尾道冬さん)
...というような作品群のようである。また第30番作品109について、
国土潤一さんは、後期のソナタ群の中でも最も形而上的な内容を持つ作品とし
ている。難しいことはわからないが、私には、心洗われ、心満ち、心に静かに
しみいる感銘の3曲である。
 第30番ホ長調作品109の出だしがいい。石井宏さんはCDの解説の中で、
”秋の落日のように美しい分散和音のテーマに始まる”。青木やよひさんは、
夢みるような郷愁のメロディではじまる作品109は、追憶の可憐な花”だと
している。また第3楽章には、連作歌曲「遙かな恋人に」のもっとも特徴的な
旋律が登場するという。最後も心にしみいる追憶の調べの中でこの曲は終わる。
 第31番変イ長調作品110は、失われた恋人への嘆きを歌っているとも。
第3楽章の「嘆きのアダージョ」は痛切極まりない。胸を締め付けられる思い
だ。私もこの部分を聴きながら何度涙したことか。ベートーベン自身の嘆きの
歌なのだ。青木やよひさんも、。−この哀切極まりない《嘆きのアダージョ》
ほど魂をゆさぶられるものを、私はほかにしらない。どのような形容詞をもっ
てしても、その美しさを表現することは不可能だ。−−と「ベートーベンの不
滅の恋人」(河出文庫)の中で述べている。
 第31番ハ短調作品111には、”嘆きの歌”を克服したベートーベンの姿
がある。荘重で自信に満ちた導入部、力強さと清澄さのみごとなまでの統合。
すべてを受容し諦観の上に取り戻した魂の平静さと力強い賛歌。この曲を聴く
とベートーベンとその作品の偉大を改めて感じもするが、実らなかった”不滅
の恋”を思い心が痛む。
 なお、ベートーベン最後のピアノソナタ3曲、第30番・第31番・第32
番を、ブレンターノのソナタと呼んだのは、ロマン・ローランという。
                  UNCLE TELL
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