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アンクルのクラシック夜話44 2001/05/25(毎週金曜日発行)
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クラシックの音楽家や作品のエピソードを中心に読みものとしても
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モーツアルトの死とベートーベンの死
音楽史に燦然と輝くモーツアルトとベートーベンだが、その死とその弔われ
方について言えば雲泥の差がある。
モーツアルトは、なんと殺されたかのも知れず、見送る人もごくわずかなら
どこへ葬られたかもよくわかっていないということのようだ。
モーツアルトが暗殺されたのではないかといううわさは、もうその当時から
あったようで、しかも体制側が、その正否(即ち死因及び遺体の所在等)をわ
からなくするようななんらかの工作をしたのではないかということさえいわれ
ているのである。
一方、ベートーベン、最晩年はさびしいものではあったが、どんな王侯貴族
も歴史上のいかなる芸術家も及ばぬような壮大なものになった。
特にウイーン市民にあまねく周知されたわけでもないのに、訃報はあっとい
う間に市中を駆けめぐった。そしてベートーベンの死は、ウィーン市民に大き
な衝撃を与えた。葬儀の日、予想もしない2万人をも越える大群衆が駆けつけ
彼の家の前の広場を埋めつくした。そんな広場の様子を描いたフランツ・シュ
テーバーという人の絵が残っている。
集まった人々の圧力で、出棺もままならず、騎馬隊の出動を要請する騒ぎに
なったほど。また休校になった小学校もあったといい、まさに市民総出の祭典
であったのだろう。
教会へ、墓地に向かう葬列の中には、きっとシューベルトもいたのだろう。
シューベルトはその翌年短い生涯を終えるが、敬愛するベートーベンの隣りに
葬られた。
なお、ベートーベンの葬儀の時の模様は、バーナ−ド・ローズ監督の映画「
不滅の恋、ベートーベン」によく感じが出ているという。
「・・・・音による詩の世界の最後の巨匠、音の芸術の貴い仲介人、先人の不
死の栄光の継承者。ヘンデル、バッハ、ハイドン、モーツアルトの大芸術の拡
大者は、彼の波乱多き生涯をここに生きつくしたのである。われわれは泣きぬ
れて、断たれた琴線とともに、今や消え去らんとする彼の最後の歌声の前にた
たずんでいる。私はただやっとそう表現することだけで力いっぱいなのである
。彼は一家の芸術家であった。彼の一挙一動はすべて芸術のためであった。・
・・・」ウイーンのウエーリンガー墓地で行われた葬儀で、詩人グリルバルツ
アーのもっとも感動的な追悼文の出だしの一節である。舞台俳優のアンシュッ
ツによる深い感情を込めた朗誦に、聞くものはみな感涙にむせんだと伝えられ
る。
(ベートーベンの葬儀の追悼文の部分は「ベートーベンの人間像」(近衛秀
麿著:音楽の友社刊)より引用)
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「アンクルのクラシック夜話」バックナンバータイトル
・#44・モーツアルトの死とベートーベンの死
・#43・無人島へ持っていくCD5枚
・#42・コンチネンタルタンゴを聴きませんか?
・#41・音楽室の作曲家たち
・#40・ベートーベン チェロソナタ第3番イ長調 作品69
・#39・ベルリオーズのレクイエム
・#38・春の祭典
・#37・シューベルトはキノコちゃん?
・#36・乱雑・不潔の極め付き天才、ベートーベン
・#35・不器用の天才 ベートーベン
・#34・ゆがんでしまったバルトーク
・#33・ベートーベンと女性たち2
ベートーベン、行きずりの恋?
・#32・もうひとつのクロイツエル・ソナタ
・#31・ハイドンの頭蓋骨の長き放浪
・#30・クロード・ドビュッシーの女性遍歴(3)
・#29・クロード・ドビュッシーの女性遍歴(2)
・#28・クロード・ドビュッシーの女性遍歴(1)
・#27・モーツアルト毒殺(?)の新犯人(?)(3)
・#26・モーツアルト毒殺(?)の新犯人(?)(2)
・#25・モーツアルト毒殺(?)の新犯人(?)(1)
・#24・ベートーベンと女性たち1
マリー・エルデーディ伯爵夫人の場合
・#23・ブラームスはお好き?
・#22・エリック・サティとドビュッシー
・#21・神秘なる聖なるエンヤ!
・#20・チャイコフスキーとドビュッシー
・#19・ロマンチック&センチメンタルクラシック選(4)
・#18・ロマンチック&センチメンタルクラシック選(3)
・#17・ロマンチック&センチメンタルクラシック選(2)
・#16・ロマンチック&センチメンタルクラシック選(1)
・#15・グレゴリー聖歌とジュリー・ロンドン
・#14・クロイツエル・ソナタ
・#13・当世クラシック人気作曲家ベスト30
・#12・ラ・フォリア物語
・#11・他人の奥さんを散歩に誘ったベートーベン
・#10・給食の音楽とお掃除の音楽
・#09・鼻ぺちゃ先生とシューベルト
・#08・ベートーベンの筆談帳より
・#07・ベートーベンの「不滅の恋人への手紙」より(3)
・#06・ベートーベンの「不滅の恋人への手紙」より(2)
・#05・ベートーベンの「不滅の恋人への手紙」より(1)
・#04・バッハ「トッカータとフーガ」二短調
・#03・「ウイリアム・テル序曲」「セヴィリアの理髪師序曲」とロッシーニ
・#02・寅さんと島崎藤村とドビュッシー
・#01・バッハ「ゴールドベルグ変奏曲」
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