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  アンクルのクラシック夜話27       2001/01/26(毎週金曜日発行)   
                       uncletell@lycos.ne.jp
 
  クラシックの音楽家や作品のエピソードを中心に読みものとしても
  ポピュラーな話題をお送りします
     
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 モーツアルト毒殺(?)の新犯人?(3)
 
 映画「くたばれ!アマデウス」では、ホーフデメールが妻のマグダレーナの
ために、モーツアルトにピアノのレッスンを頼むようになっている。
 モーツアルトはマグダレーナを一目見て、その願いを承諾する。映画では、
マグダレーナはとても純な女に描かれている。
 また、ホーフデメールは史実では裁判所の書記官というが、映画ではその辺
はよくわからない。ただ仕事か趣味か、等身大の石膏人形(彫像といおうか)
をたくさん作っていて、モーツルアルトの人形も見え、ライフマスクを取るよ
うなシーンも。
 マグダレーナはモーツアルトと恋、あるいは浮気をする。当時の新聞には、
もちろんこのことには一切触れられていないというが、彼女の浮気の相手がモ
ーツアルトであったことは、「知る人ぞ知る」で、モーツアルトのまわりの人
たちはもちろん、上流社会のかなりの人々が知っていたといわれるのである。
 例えば、後に名ピアニストとなったカール・チェルニーの両親の家にしょっ
ちゅう出入りしていたので、チェルニー家ではその事実をよく知っていた。
 またベートーベンも、マグダレーナが後に自分のために演奏してくれるよう
頼んだ時、モーツアルトと関係があった女性ということで、演奏を拒んだとも
いうのである。
 19世紀前半の音楽学者で、モーツアルトの年代順作品目録を作ったルート
ヴィッヒ・フォン・ケッヘル(いわゆるケッヘル番号をつけた人)も、このこ
とをはっきり指摘しているようだ。
 実際、モーツアルトとマグダレーナはかなり深い関係にあったようで、無理
心中のあった時マグダレーナは妊娠5か月。その子は、モーツアルトとの間に
できたのではなかろうかとまで推測する人もいる。
 そのため潔癖性であったホーフデメールが、それを許すことが出来ず、モー
ツアルトに毒を飲ませて殺した上で、その死を確認してから自分たちも死のう
と考えた、というのである。しかもその時に使われた毒薬までが推定されてい
る。それはアクア・トファナという毒薬であったといわれる。この薬は17世
紀の中頃、発明されたというが、飲んですぐ死ぬというものでなく、何か月か
の間に徐々に身体に作用して、ついには死に至らしめるという恐ろしいもので
あったから、18世紀にもよく知られており、暗殺などに用いられた。
モーツアルトが「誰かに、毒を飲まされたらしい」ともらしてから、ちょうど
六ケ月後に死亡したことも、この毒薬での殺人を示唆しているというのだが.
.。                       (おわり)
                   UNCLE TELL
 
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 「アンクルのクラシック夜話」バックナンバータイトル
 
 #27・モーツアルト毒殺(?)の新犯人(?)(3)
 #26・モーツアルト毒殺(?)の新犯人(?)(2)
 #25・モーツアルト毒殺(?)の新犯人(?)(1)
 #24・ベートーベンと女性たち1
     マリー・エルデーディ伯爵夫人の場合
 #23・ブラームスはお好き?
 #22・エリック・サティとドビュッシー
 #21・神秘なる聖なるエンヤ!
 
 #20・チャイコフスキーとドビュッシー
 #19・ロマンチック&センチメンタルクラシック選(4)
 #18・ロマンチック&センチメンタルクラシック選(3)
 #17・ロマンチック&センチメンタルクラシック選(2)
 #16・ロマンチック&センチメンタルクラシック選(1)
 #15・グレゴリー聖歌とジュリー・ロンドン
 #14・クロイツエル・ソナタ
 #13・当世クラシック人気作曲家ベスト30
 #12・ラ・フォリア物語
 #11・他人の奥さんを散歩に誘ったベートーベン
 
 #10・給食の音楽とお掃除の音楽
 #09・鼻ぺちゃ先生とシューベルト
 #08・ベートーベンの筆談帳より
 #07・ベートーベンの「不滅の恋人への手紙」より(3)
 #06・ベートーベンの「不滅の恋人への手紙」より(2)
 #05・ベートーベンの「不滅の恋人への手紙」より(1)
 #04・バッハ「トッカータとフーガ」二短調
 #03・「ウイリアム・テル序曲」「セヴィリアの理髪師序曲」とロッシーニ
 #02・寅さんと島崎藤村とドビュッシー
 #01・バッハ「ゴールドベルグ変奏曲」 
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