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アンクルのクラシック夜話24 2001/01/05(毎週金曜日発行)
uncletell@lycos.ne.jp
クラシックの音楽家や作品のエピソードを中心に読みものとしても
ポピュラーな話題をお送りします
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ベートーベンと女性たち1
マリー・エルデーディ伯爵夫人の場合
ベートーベンの「不滅の恋人への手紙」(夜話07)のところでもちょっと
ふれたが、ベートーベンと恋愛的、友情的はともかくとして、そのような交際
をもった女性は、20人は下らないのである。
ベートーベンの女性に対する接し方というのは、当時としては、時代よりは
るかに進んでいたらしい。男と女といえば、すぐそのように考えがちな風俗の
時代、多くの女性とまぎれもないフレンドシップを結んだとも。
夫と別居していたマリー・エルデ−ディ伯爵婦人の邸宅へ住み込んだときな
ど、同じ一階の庭に面した部屋がベートーベンに提供され、街路に面した側に
は、夫人が三人の子供と住んだという。
当時ウイーンのそこかしこでは、この二人の関係について、愛人だ、いや純
粋に友人だなど、いろいろと風説が飛び交ったらしい。
ところで、同じ家で二人の生活といえば、いくら夫人としても、ベートーベ
ンの芸術を深く理解し、尊敬しているといっても、実生活のわがままだのが重
なると、そこはそこ、楽しい共同生活は半年ばかりで、ベートーベンはあっさ
り夫人の家を飛び出すのである。召使いの扱いなどについて、メモを通してだ
が激しい怒りのぶつけ合いなんてこともあったようである。1808年、ベー
トーベン、30代の終わりの頃のこと。残っているマリー・エルデーディ伯爵
夫人の肖像画は、実にやさしく魅力的に見える。
二人の関係を記した本の一つによれば、エルデ−ディ夫人は1779年伯爵
家の生まれ、1796年ハンガリーのベーター・エルデーディ伯と結婚し3人
の子供をもうける。終生の大半を病床で過ごしたが、ベートーベンとは非常に
親密な関係を保って、彼に精神的影響を与えることも少なくかったという。
ベートーベンの方も悩みのありたっけを彼女に打ち明ければ、彼女は心の限
りをつくして慰め、力をつけてやるのであった。だからベートーベン自身は彼
女を、彼の魂の「懺悔をきく教父」と呼んでいた。
こんなことから、マリー・エルデーディほどベートーベンのこころの深央に
近づき得た人はいない、という評論家もいる。ともあれ、マリー・エルデーデ
ィが、ベートーベンの半生のこころの友であったことは間違いなさそうである。
また、1809年当時、ナポレオン軍が再びウイーンに侵攻しそうな気配が
あった中で、カッセルの宮廷楽長の地位を提供され、それを受けウィーンを去
ろうとしていたベートーベンを翻意させようと貴族たちに働きかけ、いわゆる
年金でベートーベンの経済的問題を解決しようと中心になって運動したのは、
エルデーデイ伯爵夫人であることは知られている。
ベートーベンは、既に高名な音楽家としてヨーロッパ中に知られてはいたが
不定期収入の自由業の身分に不安をいだいていたのだろう。
UNCLE TELL
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マリー・エルデーディ伯爵夫人に、ベートーベンは、1808年、ピアノ
三重奏曲第5番ニ長調「幽霊」、同第6番変ホ長調(作品70の1と2)、
1817年、チェロソナタ第4番ハ長調、同第5番ニ長調(作品102の
1と2)をささげている。また1819年にはちいさなカノン(作品210
”新年おめでとう”)を新年のあいさつとして贈っている。
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明けましておめでとうございます。
本年も「アンクルのクラシック夜話」をよろしくお願いいたします。
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「アンクルのクラシック夜話」バックナンバータイトル
#24・ベートーベンと女性たち1
マリー・エルデーディ伯爵夫人の場合
#23・ブラームスはお好き?
#22・エリック・サティとドビュッシー
#21・神秘なる聖なるエンヤ!
#20・チャイコフスキーとドビュッシー
#19・ロマンチック&センチメンタルクラシック選(4)
#18・ロマンチック&センチメンタルクラシック選(3)
#17・ロマンチック&センチメンタルクラシック選(2)
#16・ロマンチック&センチメンタルクラシック選(1)
#15・グレゴリー聖歌とジュリー・ロンドン
#14・クロイツエル・ソナタ
#13・当世クラシック人気作曲家ベスト30
#12・ラ・フォリア物語
#11・他人の奥さんを散歩に誘ったベートーベン
#10・給食の音楽とお掃除の音楽
#09・鼻ぺちゃ先生とシューベルト
#08・ベートーベンの筆談帳より
#07・ベートーベンの「不滅の恋人への手紙」より(3)
#06・ベートーベンの「不滅の恋人への手紙」より(2)
#05・ベートーベンの「不滅の恋人への手紙」より(1)
#04・バッハ「トッカータとフーガ」二短調
#03・「ウイリアム・テル序曲」「セヴィリアの理髪師序曲」とロッシーニ
#02・寅さんと島崎藤村とドビュッシー
#01・バッハ「ゴールドベルグ変奏曲」
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