######################################################################
  アンクルのクラシック夜話05       2000/08/25(毎金曜日発行)   
                       uncletell@lycos.ne.jp
 
  クラシックの音楽家や作品のエピソードを中心に読みものとしても
  ポピュラーな話題をお送りします
   
  http://park.millto.net/~uncletell/   
######################################################################
 
 ベートーベンの「不滅の恋人への手紙」より(1)
 
 ベートーベンが亡くなったのは、1827年の3月26日の夕刻まじか。ベ
ートーベンの親友で遺言執行人に指名されていたシュテファン・フォン.ブロ
イニングは、3日後に葬儀を控えた忙しい中を、故人が持っていた唯一の遺産
ともいうべき銀行株券を捜した。その日は見つからず、翌日の午後、内部を釘
打ちされた箪笥の秘密の引出から、株券といっしょに2枚の女性の細密画と四
つ折りにされた手紙を発見した。(株券の捜索と手紙の発見を葬儀後としてい
る著作もある)
 女性の肖像画は誰のものかすぐはわからなかったが、手紙は明らかにベート
ーベンのもので、しかも恋文だった。
 ブロイニングも、そして立ち会ったベートーベンの秘書官ともいうべきシン
ドラーも彼が晩年親しくしていたヴァイオリニストのカール・ホルツもそれが
後に、<<世紀の恋文>>とも呼ばれるような重要なものになるとは思いも及ばな
かった。
 この恋文の全文は1840年、シンドラーによって彼のベートーベンの伝記
に発表されたが、この時にはじまった不滅の恋人をめぐっての研究と論争は、
今なお異説や新説がでてくるし、伝記学者たちの話題にのぼって、すでに15
0年あまりという長い間が過ぎても、まだ決定的な解決点に達してはいないよ
うだ。というわけで、ベートーベンの伝記の上で、まだとかれていない謎がい
くつかあるが、彼のこの「不滅の恋人」はその代表的なものになっている。
 ベートーベンの不滅の恋人とは、ほんとうに誰だろうか。シンドラーが最初
にいったようにジュリエッタ・グイッチャルルディか、セイヤーが1872年
に主張したテレーゼ・ブルシュヴィクか。1920年ラ・マラは、その著書で
「不滅の恋人」はテレーゼの妹のヨゼフィーネと発表。ロマン・ローランは当
初テレーゼ説だったという。
 また トーマス・サン=ガリという人はアマリエ・ゼーバルトだとしている。
ジークムント・カズネルソンの1954年の主張によれば、不滅の愛人はヨゼ
フィーネ・ブルンシュヴィクで、彼女はベートーベンの子供まで生んだとして
センセーションを巻き起こしたとか。そのほかテレーゼ・マルファティ説も。
 いずれにしても彼女たちは偉大な楽聖と交際があったということで、歴史に
名を残しているのである。そうでなければ、決して後世に名が残るなどありえ
なかったろうに。
 
 私が、このベートーベンの「不滅の恋人」について強い興味を持ち始めてか
らもう四半世紀の月日が経っている。
                 UNCLE TELL
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 
 上の文章を最初に書いたのはもう7、8年以上前で、その頃は、”不滅の恋
人”はヨゼフィーヌ・ダイム夫人だと思っていた。
 しかし長年の科学的実証的な研究の積み重ねを経て、最近の研究成果によれ
ば、”不滅の恋人”はアントニー・ブレンターノ夫人ということに固まってき
ているようである。これは実に90%以上の確率という。
 このことを世界で最初に主張したのは、日本人の青木やよひという人で19
59年のこと。
 今では、べートーベンの世界的権威であるボンのベートーベンハウスもこの
説をとっているようで、またCOMPOSERというCDマガジンでも不滅の
恋人はアントニー・ブレンターノということで紹介している。
 だが日本ではまだこの説をあまり認めたくないのか、言及した著作は少ない
ようだ。
-----------------------------------------------------------------------
 ベートーベン 不滅の恋人への手紙全文を紹介(ホームページ、バッハなひ
ととき より)
 http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/4324/beet.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
私は、もうひとつ「千曲川通信」というエッセイメールマガジンを出してい
ます。こちらもぜひ読者になっていただければ幸いです。(読んでみていただ
いて、つまらなかったらすぐ解除して下さい。^^;)
///////////////////////////////////////////////////////////////////////
  UNCLE'S                 uncletell@lycos.ne.jp
      「千曲川通信」#**  
                       2000/**/**(毎水曜日発行)
 ”信濃なる千曲の川の細石(さざれいし)も  君し踏みてば
  玉と拾はむ”(万葉集)
 みすずかる信濃は、千曲川河畔から発信、なつかしきたべものたち、野の花
 と果実、石仏、風、植物誌、モーツアルト、ベートーベン、温泉、歴史散歩
 とルポ、そしてモノローグ、ノスタルジーとロマンと安らぎと...
 心から心へのエッセイメールマガジンをめざします... 
  http://www.mag2.com/m/0000038597.htm
//////////////////////////////////////////////////////////////////////
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ●発行責任者:UNCLE TELL
 ●ご意見・感想・質問はこちらへ:uncletell@lycos.ne.jp
 ●ホームページ:http://park.millto.net/~uncletell/
 ●このメールマガジンは、インターネットの本屋さん「まぐまぐ」を利用
  して発行しています。(http://wwww.mag2.com)
 ●マガジンID:00000040338
 ●登録と解除:http://www.mag2.com/m/0000040338.htm
----------------------------------------------------------------------
 頂いたメールは文中で紹介することがあります。。匿名、不掲載希望の場合
は、その旨明記下さるようお願いします。 
======================================================================
 
 
 
 
inserted by FC2 system