///////////////////////////////////////////////////////////////////////
  UNCLE'S                   uncletell@lycos.ne.jp
      「千曲川通信」#09 
                        2000/08/30(毎水曜日発行)
 ”信濃なる千曲の川の細石(さざれいし)も  君し踏みてば
  玉と拾はむ”(万葉集)
 みすずかる信濃は、千曲川河畔から発信、なつかしきたべものたち、野の花
 と果実、石仏、風、植物誌、モーツアルト、ベートーベン、温泉、歴史散歩
 とルポ、そしてモノローグ、ノスタルジーとロマンと安らぎと...
 心から心へのエッセイメールマガジンをめざします... 
  http://park.millto.net/~uncletell/
//////////////////////////////////////////////////////////////////////
 知る人ぞ知る、長野県民にはおなじみ100年の歴史がある”信濃の国”の
歌にまつわる物語です。
----------------------------------------------------------------------
 連なる国は十州に..(長野)県歌「信濃の国」物語1  
 
 よその県、たとえば聞くところによれば、静岡県は富士市にも長野県人会が
あって、集会の最後には必ずや例の県歌 ”信濃の国”の大合唱があるという
のである。
 この歌は異郷の地にあってこそ、その真価を発揮するというか、思いが込め
られるようである。甲子園でも歌うようだし...。長野県人というのは、す
ぐ県人会なるものを作りたがる種族のようで、移民先の南米やアメリカにもあ
るという。
 ところで、県人会を作るからといって、結束が堅いかというと疑問符が付く。
まあ、異郷の地では結束するかもしれないが。
 他の県にもあるかもしれないが、長野県では明治の初めから、筑摩県の分割
、長野県への合併以来、東北信(長野以北・上田・小諸・佐久地区)と中南信
(松本・大町・木曽・諏訪・伊那・飯田地区)の仲が悪く、血が流れた分県あ
るいは県庁を移せという騒動も何回か起きている。
 つい戦後にも県庁を松本に移せという大騒動があり、この時は県会の議決ま
で行っている。数的には中南信側がわずか有利だったのにかかわらず、結局は
北信側の巧みな戦術に負けそうはならなかった事実がある。しかし、私も松本
出身でその気分のようなものはわかるのだが、その怨念みたいなものは、現在
まで有形無形に引きずってきている。
 その県会のただならぬ空気の中で、北信の一議員が歌い出した"信濃の国”
が議会全体の大合唱になり、中南信提出の県都移転案は腰砕けになったと、伝
説のような話しも残っている。
 だいたい中南信には県の名前に”長野”が付いていること自体良しとしない
ムードも伝統的にないとはいえないような...。 だから中南信に作る公共
の施設等に”長野”の名を付けるなどはまかりならぬというような、だから施
政者も余計な摩擦を生まないよう信濃とか信州とかを使ったケースが昔から多
いのである。
 たとえば県庁所在地の都市名を県名にしている県の国立大学で県名を大学名
にしていないのは、青森県とともに唯一の県ではないだろうか。
 そう、大学の本部は松本にあって、信州大学である。そんなわけで、長野市
と松本市は昔から仲が悪く、ライバル意識むき出し、いろんな施設やイベント
などの誘致では激しい争奪合戦をしてきた。
 冬季オリンピックも、北信さんがやるものとさめた見方も、当初中南信の一
部にあったのも事実のようだ。
 はからずも県内の実情を暴露したかたちだが、若い世代が多くなり対立感情
も薄れてきているのもまた確かでもある。
 信濃の国は、県歌”信濃の国”にもあるとおり、昔の十の国と県境を接して
いる。北からぐるっと、越後越中、飛騨、美濃、三河、遠江、駿河、甲斐、武
蔵、上野。武蔵の部分は埼玉県、上野は群馬県、越中は富山県。
                    UNCLE TELL 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 明治9年、全国的な府県統合の流れの中で、中央政府の一方的命令により筑
摩県は、飛騨地方を離して長野県に統合された。県庁はむろん長野。わずか5
年あまりだったが長野県と筑摩県ではだいぶその風合いが違っていた。
 ひとことでいえば殖産興業・教育・土木、地租と多くの面で筑摩県の方が進
歩的だったし、他県(特に長野県)には負けない、また県政も活発だという自
負をもっていたようだ。
 そこへもって来て、お上の命令とはいえ筑摩県民には寝耳に水、驚愕の統合
だったわけである。形は長野県への統合とはいえ県庁舎が北よりの長野という
のも、中南信の人々は相当頭へきたのだろう。
 かくして、もう明治14年には、県会へ南信議員から県庁移転案が提出され
それから100年近くにわたって、分県、移庁さわぎが何回となく繰り返され
たのである。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ”長野”という名前が県内では未だ”ロ−カル”なものを指す場面も多いよ
うである。ある本に載っていた挿話だが、諏訪か松本出身の人が、都会地で、
出身はどこかと聞かれ、諏訪です。松本です。と答える。たずねた人が、”ほ
う長野ですか”と頷いたとすると、いや、長野ではありません、諏訪です、松
本です、とむきになったように訂正するというのだ。聞いた人はむろん長野県
のという意味でいったのだろうが、県内では単に”長野”といった場合、長野
市とその周辺をさすことばではあるようである。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ”信濃の国”の歌詞と解説(信泉会のホームページから紹介)
  http://www.dynax.co.jp/sinsen/shinano/kuni.html
 ”信濃の国”の歌詞と登場する景勝と風物(成田純江さんのホームページから)
  http://www.sk.suwa.sut.ac.jp/school/keiei/okuhara/sinano.html
  長野県公式ホームページから・信濃の国
  http://www.pref.nagano.jp/kikaku/kikaku/kenka/kenka.htm
 
 私のもうひとつのエッセイメ−ルマガジンの購読をご検討ください。
#####################################################################
  アンクルのクラシック夜話**       2000/**/**(毎金曜日発行)   
                       uncletell@lycos.ne.jp
 クラシックの音楽家や作品のエピソードを中心に読みものとしても
  ポピュラーな話題をお送りします
  登録はこちらから 
  http://www.mag2.com/m/0000040338.htm 
######################################################################
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ●発行責任者:UNCLE TELL
 ●ご意見・感想・質問はこちらへ:uncletell@lycos.ne.jp
 ●ホームページ・バックナンバー:http://park.millto.net/~uncletell/
----------------------------------------------------------------------
 ●このメールマガジンは、インターネットの本屋さん「まぐまぐ」を利用
  して発行しています。(http://wwww.mag2.com)
 ●マガジンID:00000038597
 ●登録と解除:http://www.mag2.com/m/0000038597.htm
----------------------------------------------------------------------
 頂いたメールは文中で紹介することがあります。。匿名、不掲載希望の場合
は、その旨明記下さるようお願いします。
======================================================================
 
 
 
 
inserted by FC2 system