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「安曇野（あづみの）通信」2011/03/15（毎月1・15日発行)
”みすずかる信濃は北アルプスの麓、安曇野を中心に信濃の光と風、なつ
かしきたべものたち、野の花、石仏、植物誌、そしてもろもろの考現学
などエトセトラを、ユニークな（？）筆致でお届け！”ロマンとノスタ
ルジーと安らぎと、心から心へのエッセイメールマガジンを....
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鈿女(ウズメ）神社のこと
信州・松本から大町・白馬方面に通ずる国道１４７号線。大町・白馬方面へ
行くメーン道路。私は東山か西山の山麓線を通ることが多いので時々しか通ら
ないが、たまにクルマを走らせた折りなど、安曇野市と大町市に挟まれた松川
村の中ほど、国道と平行するＪＲ大糸線の北細野駅あたりの道路脇に”鈿女神
社”という表示板が出ているのを見て、なんて読むのだろう、何を祀ったお宮
だろうと前々から思っていた。
先頃、時間に余裕があったのでそのお宮にエイヤ（？）と寄り道して見た。
私たちの生活では、何だろうとちょっと思っても、通り過ごすやり過ごすこと
が多いが、立ち止まり思い切ってその疑問を探るのも大いに良きかなである。
知的好奇心が更にふくらむこともあるし、そのちょっとした踏み出しで、人生
行路が変わって来るってことだってあり得る。
そのお宮の森と社は、村々の鎮守の森よりちょっと大きいくらいだったが、
境内にあった説明板で、ウズメ神社と読むことがわかった。鈿の字は日常では
なかなか見かけない漢字である。祭神は、天鈿女命（あめのうずめのみこと）
また創祀は明治年間で、昭和前期にかけて福利厚生に霊験ある神として、「お
かめ様」の愛称で親しまれ、多くの信仰者を集め、にぎわった神社であると、
説明文に。
天鈿女命（あめのうずめのみこと）は、天照大神（あまてらすおおのかみ）
が天岩戸に隠れて世界が暗闇になったとき、岩戸の前で裸踊りをし、天照大
神を岩戸の中から誘い出した女神である。その故事から神楽大明神とも言われ
、音曲や安産、商売繁盛、また招福、開運などの象徴として縁起を担ぐ多くの
信奉者から「おかめ様」と親しみと懐かしみを込めて呼ばれ、信仰が広まった
とされる。
ネットのウィキペディアや検索した八ヶ岳山麓『四季徒然』等の記事によれ
ば１９３０年（昭和５年）には、付近を走る信濃鉄道（のちの大糸線）に松本
・大町方面からの参拝者のためにおかめ前駅が作られ（国営化時に北細野駅と
改称）、最盛期には門前に２０軒ほどの茶屋や土産店も軒を並べていたが、支
那事変などの戦雲が垂れ込めるにつれ衰退、と載っていたが、現在の周辺の様
子では、往時のにぎわいなど想像出来ない。
また明治時代までは個人宅に祀られた祠だったが、その霊験があらたかであ
るという評判が評判を呼び、地域で管理する事になったと言う珍しい神社とか。
丹波国・佐地神社から分祀勧請され、同じ長野県内の岡谷市、下諏訪町及び茅
野市にも鈿女神社があるが、これは当社から分祀されたもののようだ。鈿女(ウ
ズメ）神社は、長野県北安曇群松川村細野大泉寺６６９５、ＪＲ大糸線北細野
駅から西へ４００ｍ、徒歩７分、国道１４７号線から西へ２００ｍ。
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長野県松川村の鈿女神社
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クラシック炉辺夜話 2011/3/01（毎月１・１５日発行)
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「クロイツェル・ソナタ」再び １
再びと書いたのは、このまぐまぐで夜話を始めた年の２０００年の１２月２７
号で既に取り上げたからである。またその翌年の２００１年３月２日号では、も
うひとつのクロイツェル・ソナタとして、ヤナーチェックの同名の弦楽四重奏曲
のことも紹介した。良く知られたエピソードだが、トルストイは、ベートーヴェ
ンのクロイツェル・ソナタに触発されて、小説「クロイツェル・ソナタ」を書い
た。今度はトルストイのその小説に反発するかたちでヤナーチェックが、カルテ
ットのクロイツェル・ソナタを作曲したのである。
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第９番イ長調「クロイツェル」。ベー
トーヴェンのヴァイオリン・ソナタの中で第５番の「春」とともに最もよく知ら
れ、また親しまれている。また彼のヴァイオリン・ソナタの中でも最高傑作とも
いわれる。この曲は１８０３年に作曲され、フランスの名ヴァイオリニスト・作
曲家、ルドルフ・クロイツェルに献呈されたのでこの名がある。クロイツェルは、
フランス大使の随員として１７９８年ウｨーンに赴いた際、ベートーヴェンと交誼
を結んだものである。
２０００年１２月２７日号では触れなかったが、ベートーヴェンはこの曲を当
初、イギリスのヴァイオリニストで、当時ウイーンに滞在し人気のあったブリッ
ジタワーという人に献呈しようとしたいわれる。１８０３年５月、ブリッジタワ
ーのヴァイオリン、作曲者のピアノで初演が行われた。
ところがしばらくして、ブリッジタワーの傲慢さにベートーヴェンががまんな
らなくなったとか、ヴァイオリニストがあまりに人気でモテたので、作曲家がジ
ェラシーを感じたためとか、また一説には、ベートーヴェンがある女性のことで
ブリッジタワーといさかいになり、喧嘩分かれしたなど諸説あるが、いづれにし
ても献呈を取りやめ、上記のクロイツェルへお鉢が回った感じとなったのである。
ブリッジタワーという英語の語感が、クロイツェルに比べ響きがどうもとも思う
のだが、そういうタワーなにがしというタイトルが付く可能性もあったのである。
（続く）
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「クロイツェル・ソナタ」再び、１回でまとめる予定でしたが、長くなるので
分けました。
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