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「安曇野（あづみの）通信」2009/12/01（毎月1・15日発行)
みすずかる信濃は北アルプスの麓、安曇野を中心に信濃の光と風、なつ
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安曇野にコウノトリがやって来た．．．
１１月２４、２５日の県内のテレビ・新聞は安曇野にコウノトリが飛来した
ニュースを伝えていた。国の特別天然記念物であるコウノトリ、この個体は、
兵庫県豊岡市の県立コウノトリの郷公園で１０日に放鳥された３羽の幼鳥の内
の１羽、足輪や識別用のマーキングなどから識別出来るという。放鳥した個体
の中では、最も遠くかつ東で発見されたという。
安曇野・松本平まではやって来なかったが、３月には北信濃に佐渡で放鳥さ
れたトキが降り立ち、今度はコウノトリ。コウノトリは良く幸せを運ぶなどと
もいうから、何か良いことがあるかもしれない、うれしいニュースである。信
濃毎日新聞の記事では、２４日に南信の中川村で２羽、２６日には辰野町でも
確認され、安曇野で発見された個体とは別の個体とされるから、連れだって
（？）信州方面へ飛んで来たのかもしれない。
０４シーズンに安曇野の白鳥飛来地にやってきたカナダツルのように半年も
滞留すれば大いに面白いが、その後ニュースを聞かないので、信州中部での滞
在はどうも２，３日で終わったようでもある。私も実物を見聞出来なくてまこ
と残念。「市民タイムス」１１月２５日に載っているアップの写真を見ると、
ハクチョウのおとなしいおだやかな目つきに慣れた私には、なんとも目つきが
鋭い。幼鳥でも羽を広げると２メートルほどになるという大型の鳥。
日本列島にはかつて留鳥としてコウノトリが普通に棲息していたが、現在は
留鳥としての野生種は絶滅してしまっている。野生種の分布域は東アジア、中
国東北部（旧満州）で繁殖し、中国南部（華中・華南）に渡り越冬する。総数
も推定２,０００〜３,０００と少なく、絶滅の危機に。渡りの途中に少数が日
本を通過することもある。０４年に伊那谷で確認されたものは、渡りの途中の
ものであろう。
ネット百科辞典ウィキペディアによれば、兵庫県は「特別天然記念物コウノ
トリ管理団体」の指定を受け、１９６５年５月、豊岡市で一つがいを捕獲し、
「コウノトリ飼育場」（現在の「兵庫県立コウノトリの郷公園附属飼育施設コ
ウノトリ保護増殖センター」）で人工飼育を開始した。捕獲した野生種は死滅
したが、飼育の成果もあり０９年１１月１日現在９９羽に増えていて、放鳥・
野生復帰の試みが続いている。コウノトリもトキも、この国の豊かな田園の上
を自由に飛び交う日が来ることを、切に願うものである。
なお、コウノトリは東アジアに棲息する鳥。ヨーロッパとアフリカ北部には
狭義のコウノトリの近縁種であるシュバシコウがいる。「コウノトリが赤ん坊
を運んでくる」などの伝承は、このシュバシコウについていて語られたもので
あるとか。羽色は似ているが、クチバシは赤で、こちらは数十万羽もいる模様。
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もの想う秋に、浪漫クラシック選（７）・その６
メンデルスゾーン（１８０９〜１８４７）/「無言歌集」
メンデルスゾーンに「無言歌集」という作品があることは知っていたが、ま
とめて聴いたのはつい先頃のことである。きっかけは、この夜話０９．０２．
０１号「クラシックのススメえとせとら」に書いたが、友人で安曇野・有明で
カフェ・ド・ラペという喫茶店をやっているママのテツコさんが、どなたかに
すすめられたか、店でかけるＣＤとして、メンデルスゾーンの「無言歌集」を
購入したと聞いたことからである。
彼女がいうには、喫茶店でＢＧＭ的にかけることもあって、音程の起伏が少
ないテンポの激しくないおだやかな曲がいいとのこと。それにはショパンのピ
アノ曲やメンデルスゾーンの無言歌などがぴったり。だから、ベートーヴェン
の月光・悲愴・熱情・テンペストなど激情型のピアノソナタは向かないらしい。
また交響曲などは適さないらしい。
「無言歌集」は８巻からなるピアノ小品集で、ドイツ語の原題では“Lieder
ohne Worte”（言葉のない歌）であるという。シンプルな伴奏の上に、歌曲の
ようなメロディが奏でられる。その多くは２部ないし３部からなるリート形式
をとると、ＣＤの解説に。おりにふれて作曲したそんなピアノの小曲を、メン
デルスゾーンは《無言歌》と名付け、ピアノリートとも呼んだ。もっとも無言
歌の考案者は実姉のファニーという説もある。また、「無言歌集」のかなりの
部分は、ファニーの作曲したものだとも。この辺のことは、夜話０９．０７．
０１号「 メンデルスゾーンと姉のファニー・メンデルスゾーン＝ヘンゼル」
で書いた通りである。
聴いてみて、実にみな簡潔、穏やかでたおやか、優美で、ロマンチックな曲
ばかり。メンデルスゾーン本人は５曲ほどにしか、タイトルをつけなかったと
いうが、全４８曲にそれらしきぴったりな題名がついている。その多くは楽譜
出版社が商売上つけたものらしい。これらの曲は、技巧的にやさしく、音楽の
表情も優しいことから、アマチュアやこどものための練習曲として弾かれるこ
とが多いという。であるが、これら小品のなかには、メンデルスゾーン特有の
清冽なリリシズムや夢幻的なロマンティズムが秘められているとも。
「無言歌集」の中で、「春の歌」「狩りの歌」「ヴェネツィアの舟歌」「葬
送行進曲」などは、特に有名で、「無言歌集」の名を知らない人でも一度や二
度その旋律を聴いたことがある人も多かろう。「無言歌集」の第１巻の冒頭の
曲「甘い思い出」、ネットに出ていた解説によれば、「無言歌集」全般をあま
り高く評価しなかったショパンが、この曲だけは「気にいる」といったと伝わ
っているとか。
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