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UNCLE'S
クラシック炉辺夜話 2009/09/15(毎月1・15日発行)
uncletell@gmail.com
クラシックの音楽家や作品のエピソードを中心に読みものとしても
ポピュラーな話題をお送りします
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もの想う秋に、浪漫クラシック選(7)・その1
また秋が巡ってきた。とはいえまだこの時期は、毎年のように掲示板などに
も書いているが、夏の空気と秋の空気が入り混じっている。時に夏の空気が勢
いを盛り返し思わぬ残暑の日々があるかと思えば、秋の秋冷な空気がぐ〜んと
押し出しちょっと着ているものなどあわてることも。とはいえ空気もまわりの
景色も次第に秋一色になって行く。
秋分の日も間近、これからは夜長の季節である。じっくりクラシック曲を聴
き込むにはいい季節。この”もの想う秋に、浪漫クラシック選”も7シーズン
目。種切れで選曲に苦労している。一回紹介した曲は二度三度と取り上げない
よう心がけているが、執筆も長年のこと故、たまたま重複ということもあるか
もしれないがそこは容赦願いたい。また、私の嗜好でどうしても室内楽曲が多
くなること、また毎回も述べている通り、果たしてロマンチックかどうか、そ
れはあくまで主観的、例によって独断と偏見による選曲なので承知願いたい。
フォーレ(1845〜1924)/ ピアノ三重奏曲ニ短調
フォーレ最晩年、1922〜23年、78歳の作品である。死の2ケ月前に
完成したという弦楽四重奏曲とともに、音楽史に名が残る作曲家の室内楽作品
としては最高年齢のものではなかろうか。作曲当時、フォーレはパり音楽院の
院長を辞した後で、経済的にも苦しく、難聴も進み、肉体的衰弱も相まって、
心身ともにおもわしくなく一時は作曲の筆も進まなかった。しかし、完成した
作品は、年齢による衰えも心身の苦難も感じさせないまさにすばらしい傑作に
値するものである。
フォーレの人と作品には常々崇敬の念を抱いているが、フォーレの作品、な
かんずく室内楽作品にもっともっと多くの人が親しんでいただけたらと、ファ
ンとしても願っている。この作品にも、香り立つロマンの香気、憂愁味抒情味
を持った実に美しい旋律、気品と奥ゆかしさ・精神性、天国的なもの、それで
いて厳としたしたたたずまいを私は感じる。評論家の美山良夫氏は、音楽之友
社の名曲ガイドシリーズの中で、−−フォーレ後期の作品の特長がみごとに刻
み込まれたいぶし銀のような魅力を持っている−−としている。
このピアノトリオのヴァイオリンのパートはクラリネットでも一部の重音を
除いて演奏可能という。フォーレはもともとクラリネットとチェロとピアノの
編成でこの曲を構想していたとも。ネット百科辞典ウイキペディアに出ていた
解説によれば、フォーレ自身はこの作品を「小さなトリオ」と呼んだが、弟子
のフローラン・シュミットは、「これこそが音楽だ。そして音楽以外のなにも
のでもない。」と評したという。公開の初演は、1923年6月、アルフレッ
ド・コルトー、ジャック・ティボー、パブロ・カザルスによって行われた。い
づれも20世紀前半を代表する演奏家である。
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