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UNCLE'S
クラシック炉辺夜話 2009/07/15(毎月1・15日発行)
uncletell@gmail.com
クラシックの音楽家や作品のエピソードを中心に読みものとしても
ポピュラーな話題をお送りします
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ブラームスのピアノ三重奏曲
ロマンチックそしてセンチメンタルなクラシック曲の本命作曲家といったら、
ブラームスだと、またブラームスいえば、渋い、重厚、枯淡、通好みといった
ところが一般的な評価なのだろうが、どうしてどうして、特に室内楽には、あ
まりに甘く美しくロマンの香り高くセンチメンタルな感じもする曲も少なくな
い、そしてさまざまな人のブラームスの室内楽の曲の解説には、情熱的、暗い
情熱、情緒、叙情性、哀愁、哀感、哀調、憧憬、悲哀、諦観、悲痛憂愁、孤独、
悲歌、内省的、内面的、悲愴、崇高、切々、感傷、優美、繊細などの文字が並
んでいる..などと、以前書いたことがある。今回のピアノ三重奏曲3曲、先
々月の5月15日号で書いたピアノ四重奏曲とは趣きがちょっと異なるが、ま
た1、2回聴いただけではすーっと入ってこないかもしれないが、けだしそれ
らをまさに実感出来る名曲と思う。
第1番ロ長調、作品番号は8、元はブラームス若干20歳頃の作品である。
1853年、この年の9月、デュッセルドルフのシューマン家を訪問する前に
すでにスケッチされ、その後、シューマン夫妻の強い励ましで作曲が進み完成、
クララのピアノで非公開の演奏が行われ出版もされたという。しかし”元は”
とも書いたように、こんにち一般に演奏され、CDでも聴かれるのは、それか
ら36年も後に手を加えて出版された改訂版の方である。
ブラームス自身は、「カツラを与えたのではなく、ちょっとばかり櫛をあて
て髪の毛を揃えただけ」と語っているが、作品の長さを三分の二ほどに縮める
など、かなり思い切った改訂を施している。もっとも大木正純氏がいう−−若
き日の多感なブラームス、ほてるようなロマンの香気、ういういしい情感−−
はむろん健在だ。また、改訂により青年時の楽想は、全体的構造の観点から見
通しよく整理され、作品そのものの堅固さが増し、楽器法もはるかに熟達した
ものになったということのようである。としても各楽章の主要な旋律は、20
歳の青年作曲家のものであろう。
最初の出だしなど、私は青年らしい意気軒昂なものも感じる。また、夢、憧
れ、甘美で、情熱的、ロマンチックな旋律が続くかと思えば、悟り、諦念や悲
痛に満ちた調べも随所に。ネットで見たbellkenさんのホームページには、ブ
ラームスのベスト10というコーナーがあり、このピアノ三重奏曲第1番が、
トップに載っていた。この曲の甘く、やるせない雰囲気が大好きという。私は
特に第4楽章がお気に入り、初演の時、若い時から親交のあったヴァイオリニ
スト、ヨーゼフ・ヨアヒムが絶賛した楽章で、聴衆から最も喝采されたという。
第2番イ長調は、1880年から82年、ピアノ協奏曲第2番と同じ頃、作
曲された。作品の構成のバランス感、安定度の良さは3曲中随一というが、ポ
ピュラリティは他の2曲に比して低いようだ。第3番ハ短調は1886年(5
3歳)の作品。音楽評論家吉井亜彦さんは、−−短調で書かれているせいか、
どの部分にも生きることに対する、深く苦い嘆息のような陰影感が濃い−−と
述べている。また一般的な「渋いブラームス」というイメージには、この曲が
最もかなっているとも。
UNCLE TELL
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