信州・修那羅峠の異形の神々
                                
          (10.03) 
              

・宇*津神、頭から焔のようなものがいくつか出ている。 ・頭に月桂樹の冠のようなもの、更にその上の太陽が...。
・猛*神、子をくわえた犬の像、なにを祈願した像であろうか? ・山犬?猿?
・ネコガミサマと土人(?)像、ネコガミサマはドラエモンにも似ている。土人像は、どうみても南方(洋)かアフリカのものをイメージさせる。 ・こちらもネコガミサマ、左のものとは別の像、表情が違う。
・人面馬?字はちょっと読めない。 ・こちらも馬だが...。何を祈ったのか
・イノシシに乗っている三面神? ユーモラスなマンガチックな像。

・土中から顔面が突き出て...。この異様な顔、日本の神とはちょっと思えない。 ・黴、コケに覆われ風化も進んでいる、眼光するどい。
宇宙人のようにも見える...。 ・こちらも南方(洋)系?それとも猿面像?

・生首のような像 ・この異様な像は?
面白い冠の像と左の蛸面のような像も...。 ・左手に持っているものは?
・上部に三日月と太陽、月と太陽信仰は世界各所に...。 ・この像はマリヤ様?
 信州・修那羅峠は、上田市から青木峠を越え旧四賀村を経て、松本市に至る国道
143号線、青木村の田沢地区の集落を抜け、登り勾配がきつくなるあたりから、
右に手分かれ、旧坂井村や麻績村へ抜ける道路の最高所にある。逆にたどれば、長
野道の麻績インターを降り、修那羅峠、青木村へ至る道を、案内表示に従って右手
の道を登って行く、駐車場までインターから20分ほどか。上田からでも1時間あま
りで到達出来る。

 修那羅峠の石神石仏は、約標高1000メートル、安宮神社というお宮の境内、
左手裏山に、7、800体が並んでいる。ほとんど3〜40センチ程度の小さなも
の。これは人の背に乗せて、ふもとから運び上げたためか。儀軌(ぎき−−石仏等
を刻む上での一定の規範)からはずれた特異な像、異形の神が数多い。県中央の中
信地区でも松本盆地・安曇野には道祖神、白馬には百体観音などが多い。それらい
わゆる石仏を見慣れた目には、ここの神仏の世界はまさしく異様、異次元の世界の
もののようにさえ見える。

 なんと言ったらいいだろうか、石仏石神というたぐいの範疇にはとても収まりき
らないものばかりである。奇妙キテレツ、摩訶不思議、ユニーク。例えば、ササヤ
キ明神など意味するものが良くわからないもの。そうかと思えば、そのものズバリ
金神、一粒万倍神や、よほど貸した金を返して貰えなかったのか催促金神なんてい
うユーモアやペーソスを誘うものもある。またとても日本の神仏とは思えない南洋
諸島やアフリカのものをイメージしてしまうものもある。
 
 信州石造物研究会の金子文平さんは、「素人の彫刻が多かったということも考え
られるが、もう一つ儀軌を積極的に無視してやろう、という気慨もあったのではな
いかと思われる。従来の造形にとらわれない、また村落共同体の規制下にない自由
な発想・造形が修那羅の石神仏像に投影されているように思う。」と、その著書の
中で述べている。

 これら石像、自由な発想の産物なのであろうが、江戸時代末期のチョンマゲ姿の
農民の作とはどうにも結びつかないと感じる面もある。ともあれ、修那羅には、土
俗信仰のすべてがあるともいわれる。心にしみ入るよう美しい像・稚拙ながらほの
ぼのとした気分にさせてくれる姿、そして恐ろしさの中にもユーモラスな情緒をも
つ像・・・。人によっていろいろな見方が出来るし自分の気にいった像を心ゆくま
で鑑賞したり、同じ願いをこめ祈ることもできる。修那羅が多くの人を引きつけて
やまないのはそんな理由によるのだろう。小冊子の取材で、初めて訪ねてからもう
30年近く経つ。それ以来何回となく訪れているが、その度に新しい魅力の発見が
あるし、こんな像今まであったかななど、新しい像を見つけることもあるなど興味
尽きない。 

                                                      (取材・03〜09)

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