フヨウの花が好き...

      「安曇野(あづみの)通信」2010.08.01号より

 この10年この方、フヨウの花に魅せられている。夏の間、カメラを持ち歩い
ては、道すがら出くわしたフヨウを撮っては楽しんでいる。いつもあそこに咲い
ていたフヨウ、今年はどうだろうかなど気にかかる。淡紅色の美しい花である。
花は一日でしおれるが、次々と花開く。

 ところでフヨウの花が咲いてもほとんど話題になることもない。全国にボタン
寺、アジサイ寺などはあまたあると思うが、ウイキペデアに芙蓉の寺、長浜の舎
那院というのが載っていて、むろんなくはないだろうが、フヨウの寺というのは
あまり聞かない。だいたい**宅で**が満開というような身近なニュースまで
知らせてくれる私の居住するミニローカル・タウン紙でも、およそ記事になった
のを見たことがない。

 植物辞典には、九州、沖縄、中国に自生し、伊豆半島、紀伊半島、山口県、四
南端のの沿海地に野生化しているとある。それ以外では、各地で半野生化もして
いるタチアオイと違って、植えてなければそこにないことになるが、私が見る範
囲のフヨウはあまり大切にされているとは思えない。大方、あまりぱっとしない
ところ、庭か畑の片隅、隣地との路地境・道路脇などに植わっている。

 そんなフヨウだが、夏の強い陽に抗して咲くこの花が私は大好きである。フヨ
ウとい名の響きも、芙蓉という漢字も、品があっていい。同じアオイ科の仲間、
ムクゲやタチアオイに比べてもずっと好印象。もっとも一見、これはアオイなの
かムクゲなのかフヨウなのか良くわからない場合もあるのだが...。

 以前、私のホームページでフヨウの特集をしたこともあるが、花弁の白から、
薄いピンク、朱へのさまざまな色合いと態様の変化、バリエーションが面白い。 
直径20cmにもなる大きな花をつけるアメリカフヨウ。浅い皿状に広がっ
て互いに重なるため円形に見える花弁。その白地と中心部の赤い色とのコントラ
スト。ムクゲにもタチアオイにも八重咲きのものがあるが。八重咲きのフヨウと
もいうべきがスイフヨウ(酔芙蓉)、朝咲き始めた花弁は白いが、時間がたつに
つれピンクに変化する。フヨウの中では開花の時期が遅い。

 モミジアオイ(紅蜀葵)は、葉はフヨウとは違い掌状に裂けて長く、花弁の間
は隙間があるが、花は先細のものからかなり丸星のものまで、またフヨウの花と
感じがかわらないものもある。昨年の8月15日、終戦の日に安曇野山麓線で見
た紅蜀葵も、大きく朱色が実に鮮やか、フヨウと見まがう感じの花弁が印象的だ
った。眺めていて思わずつぶやいた。”終戦の日も咲いていたのか紅蜀葵”

                   UNCLE TELL

アンクルのアオイ・フヨウコレクション(10.07)
アオイ科のムクゲ・タチアオイ・モミジアオイ・オクラ・ハイビスカスを含む

inserted by FC2 system