越中八尾・おわら風の盆スナップ
 
上新町町流しの女性たち
 
     (15.09)
   

 越中八尾・おわら風の盆(おわらかぜのぼん)は、富山県富山市八尾(やつお)地域で、毎年9月1日から3日にかけて行われている富山県を代表する行事(祭り)である。

 このおわら風の盆(おわらかぜのぼん)は、今も昔も訪れた多くの人々を魅了する。夕暮れを過ぎると、家並みに沿って並ぶぼんぼりに淡い灯がともる。越中おわら節の哀切感に満ちた旋律にのって、坂が多い町の道筋で無言の踊り手たちが洗練された踊りを披露する。涼しげなそろいの浴衣に、編笠の間から少し顔をのかせたその姿は、実に幻想的であり優美。

 艶やかで優雅な女踊り、勇壮な男踊り、哀調のある音色を奏でる胡弓の調べなどが来訪者を虜にする。おわら風の盆が行なわれる3日間、合計25万人前後の見物客が八尾を訪れ、町はたいへんな賑わいをみせる。2006年(平成18年)に、「とやまの文化財百選(とやまの祭り百選部門)」に選定されている。

 越中おわら節しは、江戸時代から伝わり、大正から昭和にかけて洗練された。伴奏に胡弓(こきゅう)が用いられる全国でも珍しい部類の民謡。「おわら」の意味・由来については諸説あり、「お笑い」から転じたとする説、豊作を願う「大藁(おおわら)」とする説、八尾近郊の小原村(桐谷地区)の娘による歌から広まったとする説などあるが、確たる通説はないようだ。なお、よく似た曲名の民謡として、青森県・津軽小原節、秋田小原節、鹿児島おはら節などがあるが、越中おわら節との関連は不明とか。

 なお、なぜ「風の盆」というのかと言うと、二百十日の前後は、台風到来の時節。昔から収穫前の稲が風の被害に遭わないよう、豊作祈願が行われてきた。その祭りを「風の盆」というようである。

 このおわら風の盆は、それぞれの町の伝統と個性を、いかんなく披露しながら唄い踊ると言う。それをぜひ見聞したいのだが、見物客の多さに町内移動もままならない。筆者アンクルは、踊りが行われている旧町11支部(町)のひとつ、一番道巾が広く、商店が多く立ち並んでいる上新町の町流し女性の踊りを中心に取材スナップ。私の撮ったものだけでは足りないので、既にネットに投稿されている写真の助けも借りた

          

                          

                                                           

・越中八尾は富山市南西部の山あいの町踊りつがれてきた「おわら風の盆」。それは叙情豊かで気品高く、哀調の中に優雅な趣を有し、見る者を魅了せずにはおかない。 ・各町内ごとに女性の浴衣のデザイン・色柄が違うのだが、上新町のそれはなかなか洗練されていて、粋で実にシック。
・町流しとは、地方(じかた)の演奏とともに各町の踊り手たちがおわらを踊りながら町内を練り歩くものである。この町流しが、古来からのおわらの姿を伝えるものとされているとか。 ・編み笠を深くかぶっているので、踊り手の顔はほとんど伺い知ることが出来ない。それだけになにかしらエキゾチック、想像を膨らませる。
・越中八尾の「おわら風の盆」が、全国的に注目されるようになったのは、高橋治の小説『風の盆恋歌』(1985年刊)の発刊、ベストセラーが大きな契機であったようだ。また石川さゆりが歌った「風の盆恋歌」(1989発売)もブームを担った。 ・「てのひらに恋い語らせる風の盆」(第9回風の盆俳句大会受賞作品より)
・「編み笠のうなじの白さや風の盆」と詠み、9月2日の画像日記帖(俳句練習帳等)にアップしたところだが、ネットに第9回風の盆俳句大会受賞作品というのがあり、「あみ傘の白きうなじや風の盆」という句が入選作として載っていた。 ・NHK−BSで、テレビドラマ化作品の『越中おわら風の盆』が、1988年の本祭の模様を生中継した像と、『風の盆恋歌』をもとにした音声ドラマを展開して放送された。生放送ドラマである。
春風吹こうが 秋風吹こうが おわらの恋風 身についてならない ゆらぐつり橋 手に手をとりて 渡る井田川 オワラ 春の風
・もしやくるかと 窓押し開けて 見れば立山 オワラ 雪ばかり ・見たさ遇いさ 思いがつのる 恋いの八尾は オワラ 雪の中
・「笠取ればあどけなき顔風の盆」(第9回風の盆俳句大会受賞作品より)、実際そうかもしれない。 ・「更けてなほ人の増えゆく風の盆」(第9回風の盆俳句大会受賞作品より)、通りには踊りを見ようと何重もの人垣が...。
・富山あたりか あのともしびは とんで行きたや オワラ 灯とり虫 踊りの手の所作ひとつひとつに意味があるのだろう。おわら風の盆唄、歌詞の内容はなかなかロマンチックである。 ・「身を反らし手のひら反らし風の盆」(第9回風の盆俳句大会受賞作品より)
・左右、帯できつく締めてあっても、踊っているとどうしても胸元がゆるむのだろう、それが妙な色気を....。 ・所属するアルプス句会の同人、李白さんの句「着乱れを直して今宵は風の盆」が想起される。
・越中八尾おわら風の盆は、八尾に暮らす人々が大切に守り育んできた民謡行事。これからも毎年多くの人を集めて止まないだろう。魅力いっぱい、私もまたぜひ訪れたい。 ・「人の世の悲しきうたや風の盆」(第9回風の盆俳句大会受賞作品より)

                                                      

トップへ

inserted by FC2 system